美と健康の源だ

本当の味覚を得る幸せ

認定NPO法人アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと副理事長小谷智恵

この記事は,アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと」の副理事長兼事務局長,小谷智恵さんへの取材記事です。Qの聞き手は,ごみ減事務局スタッフです。
取材日 平成28年9月5日16時から 京都ぴいちゃんねっと事務局(中京区)にて

京都ぴいちゃんねっとの小谷さんにききました

Q 「小谷さんは,アレルギーをもつ子や親御さんのネットワーク「アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと」の副理事長と事務局長を兼ねてらっしゃるのですね。いつ頃から,どのようなきっかけでこの活動に関わり(立ち上げ),どのような活動をされているのですか。

小谷 「ぴいちゃんねっとを立ち上げたきっかけは、今高3になる長男が食物アレルギーだったからです。当時は家族会や患者会といった会員制のものしかなく、自助や共助といった内容にとどまっていました。アレルギーっ子の子育ての辛さを社会に理解してもらえないと、辛さの連鎖はなくならないと思いました。なので、ぴいちゃんねっとは当時者支援と共に、社会的理解への活動・事業もとても大切にしています。」

食物アレルギーの子の多くは,ペットボトル緑茶を飲まない

Q 「ペットボトル緑茶には,香料や酸化防止剤としてのビタミンCが含まれていますが,そういった食品添加物がアレルギーに悪い作用を及ぼすことはないのでしょうか。」

小谷 「そういった添加物と食物アレルギーは切り離して考えて下さい。」

Q 「食品添加物が,食物アレルギーに直接影響するとは考えない方が良いのですね。」

小谷 「ただ、食物アレルギーの子どもの多くは、ペットボトルのお茶などはあまり飲まないですね。普段から外出時に、お弁当と一緒にお茶などを水筒に入れて持ち歩く習慣があるのと、原材料表示を見ると、添加物が気になりはじめる保護者の方もいるからです。子どもは、もっと単純でおいしくないから、水筒のお茶を好みます。やっぱりやかんで沸かしたり、急須で淹れたお茶の方が,おいしいといいます。」

Q 「お子さん自身がそのように感じるのですか。」

小谷 「そうですね。食物アレルギーがあることで,食べられるものなど様々な制約がありましたが,いつも手作りの料理を心掛けました。単にアレルゲンとなる食材を除いた料理というだけでなく,旬の食材を使ったり、素材の味を生かした味付けにしたり。出汁にしても,化学調味料ではなく,煮干しや昆布,鰹などから出汁取りをしてきました。すると自然と味覚が備わったようです。」

Q 「そのお子さんが,急須で淹れたお茶の方が,おいしいとおっしゃるのですね。」

小谷 「保育園の時から,そのように言っていましたし,急須で淹れたお茶を飲むと『ほっとするわ~』と言っていました。」

Q 「とても保育園児の言葉とは思えない。」

小谷 「でも,本当なんですよ(笑)。」

豊かな味覚は,人生を豊かにする

Q 「ともすると,『アレルギーのある子はかわいそう。その親はたいへん』とばかりに,マイナス面でばかり見ていました。でも,今のお話を聞いて,考えが改まったのは,むしろ「ふつうの子」と呼ばれる,特にはっきりしたアレルギーのない子の方が,幼いときから,添加物いっぱいの食材,濃い味付けがされた外食や弁当などに慣れ,味覚が発達せずに育ち,食材のもつ本当のおいしさや調理してくれた人の工夫などがわからないのではないか,逆に,アレルギーのある子の方が,味覚が発達し,これからの人生を豊かに暮らせるのではないかと感じました。ただ,それは小谷さんのお子さんに限った話でしょうか。」

小谷 「食物アレルギーのある子のすべてがそうだ,とは言えませんが,私の子に限ったことではありません。私たちのネットワークに関わっているまわりの子どもたちを見ても,決して,私の子だけではなく,アレルギーのある子で,味覚が発達している子は多く見られます。」

Q 「一方,『ふつうの子』にしても,食べ物,飲み物に対して,しっかり向き合った暮らしをしていれば,味覚を発達させることはできるわけですね。」
小谷 「そうだと思います。」

身体にも良く,財布にもやさしい!やっぱりお茶は急須で…

小谷 「それだけでなく,ペットボトル緑茶ばかりを飲んでいたら,支出も多くなります。外出時も水筒に家で淹れたお茶を入れて持っていきますが,常にペットボトル緑茶を使っていたら,月に数千円は余分に支出しているはずです。もちろん外出先で水筒が空になれば,ペットボトル緑茶を買うこともありますが,あくまで非常用としての購入ですね。」

Q 「もちろん,私たちの『リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン』は,ペットボトル不買運動ではないので,必要ならペットボトル緑茶を使われたらいいと思います。」

小谷 「より良いもの,よりおいしいものを利用していたら,身体にも良く,財布にもやさしい,わざわざペットボトル緑茶を利用することもない,それだけのことかと思います。」

Q 「今日は,いくつもの大発見がありました。『食物アレルギーのお子さんはかわいそう』ではなく,むしろ,食に対して,しっかり向き合う機会につながり,人として,生き物としてとても大切な『味覚』を発達させることになった。そのことが,様々な食材の微妙な味の違いや,調理をしてくれた人の工夫を感じ取ることにもつながる。それって,これからの人生をとても豊かに暮らせる力になるのではないかと思いました。ありがとうございます。(2016年10月24日公開)

以上

認定NPO法人アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと http://www.allergy-k.org/

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