人づくりだ

「2R茶会」の開催による成果評価について ~2016年12月から2017年5月の取組から~

京都市ごみ減量推進会議事務局堀 孝弘

1. 事業の概要について

(1)事業の目的(2Rの実現に寄与するための茶会)

京都市ごみ減量推進会議(以下,ごみ減)は,ごみの2R(リデュース・リユース)を推進する事業として,平成28年度より「リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン」に取り組んでいます。その一環として「平成の茶会」等,観光客や一般市民が集う場所に出向き,日本茶のおいしさを再確認してもらうイベントを連続的に開催してきました。それによって,リーフ茶(茶葉から淹れた茶)の愛好者を増やし,ペットボトルごみの発生抑制(リデュース)に寄与することを目的としています。

(2)基本的なコンセプト(人の集まるところに出向く,他の分野との連携)

近年環境団体の多くが,「ごみ問題」や「ごみ減量」をテーマにしたイベント等での集客や,参加者の固定化等で悩んでいます。
ならば,人を集めるのではなく,人の集まるところに出向き,情報提供や啓発をすることも必要な手法として考えられますし,また「ごみ」への関心が低下しているのであれば,「ごみ」だけをテーマにするのではなく,文化や地域振興,子育てや健康など,他の分野と関連づけた内容を企画し,これまでの参加者と違う層に働きかけ,関心層を拡大することも必要です。
以下,一連の茶会を「2R茶会」と表現し,これまでの実施による成果と課題について述べたいと思います。

(3)実施期間と開催数(5会場,6回の実施)

「2R茶会」は,平成28年12月から翌29年度5月までに5会場で実施しました。それぞれの開催条件等は表1にまとめています。それぞれ違う条件で開催し,アンケートも異なる反応を得ています。
5会場のうち,東福寺会場は屋内と屋外で開催条件が違い,アンケートも分けて集約しました。そのため表1・表2では東福寺会場を2回に分け,「6回」の開催条件の反応を掲載しています。それぞれのアンケート結果を比較することで,どのような条件での開催が,より事業目的に適う成果をあげたか見ることができ,今後どのような改善が必要か考える材料が得られると考えます。

表1 「リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン・2R茶会」各会場実施概要(クリックすると拡大します)

2. 目標と成果

(1)事前に立てた目標

事前に立てた「事業目標」は,「平成28年度中に3会場以上の開催」と「平成の大茶会と呼べる規模のものを開催したい」といった漠然としたものでした。
目標ではありませんが,梅小路公園では3種の茶葉と茶団子をそれぞれ50人分,常寂光寺は2種の茶葉をそれぞれ50人分用意し,アンケートも50人分用意しました。東福寺は200人分以上,鳥羽,蹴上は平成29年度になりますが,それぞれ80人分の茶葉を用意し,「来場者の目安」としていました。
唯一事前申込を募り,定員を設けたのは東福寺の屋内会場(書院)で50人でした。ただし,こちらは茶の淹れ方講習や試飲を主とした催しではなく,講演を主としたものでした。

(2)数字でみる成果(アウトプット)

催しの開催数としては,平成28年度内に3会場で実施しました(29年度2会場)。来場者数も,表2で示した通り,梅小路公園(70人),常寂光寺(80人),東福寺屋内(100人),東福寺屋外(200人),鳥羽(88人),蹴上(100人)でした。各会場とも「目標」または「目安」とした以上の参加者を得ました。
東福寺での開催は,催し名に「平成の大茶会」を冠しましたが,屋内(書院)では定員を大きく上回る参加があり,屋外テントにも想定を上回る来場者があり,「平成の大茶会と呼べる規模の開催」という目標もクリアしたかと思います。
また,一連の「2R茶会」では,有名寺院,茶産地自治体(京都府,宇治市,静岡市,和束町),日本茶インストラクター等,環境分野以外の様々な主体との協力関係が得られました。このような数値だけではない成果も得ることができました。

(3)アンケート結果から事業の効果を考える(アウトカム)

東福寺会場を2回と数え6回実施した「2R茶会」ですが,提供した茶の種類,日本茶インストラクターによる「おいしいお茶の淹れ方講習」の有無,講演等との併催の有無など,それぞれ異なるスタイルで実施しました。参加者から提出を受けたアンケートは448枚になり,それぞれどのような反応であったか見ることで,来場者に与えた影響や効果を知ることができると思います。
事業の効果について,何をもって測るか難しいところですが,ここでは表2右端の「今後のリーフ茶の利用」の問いに,「確実に増えそう」と答えた人の多寡で考えることにします。その場合,常寂光寺の38%が突出して高くなっています。(これについては後で取り上げます)
逆に梅小路公園の「確実に増えそう」が最も低くなっています。ここでは煎茶だけでなく,玉露,抹茶の3種の茶を出し,さらに茶菓子も付けました。茶菓子も含めて多くの茶種を出したことで,「おいしかった」との回答率は高くなりました。この回は,一連の茶会として始めての開催であり,来場者に開催意図を伝える工夫が十分できませんでした。会場は建物の奥まったところにあり,また水が使える場所も遠く,スタッフが会場への案内や湯呑みの洗浄に追われたことなど,会場の特性も影響したかと思います。
「今後のリーフ茶の利用」の問いに,「わからない」と答えた人の多さを「効果の弱さ」とみた場合,東福寺屋外テントの22%が突出して多くなっています。ここでは宇治茶,静岡茶,中国茶を提供し,様々な茶を提供することで,あらためてお茶を「おいしい」と感じてもらえた一方,次々と来る観光客への対処のため,開催意図,事業目的の伝達は不十分になりました。ただし,この回は,宇治市や静岡市の協力を得て,今後の発展につながる関係性を得ることができ,そのことは大きな成果としてあげられます。

表2 「リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン・2R茶会」各会場アンケートまとめ(クリックすると拡大します)

3. 取組内容や参加者の特性と,アンケート結果との照合

(1)効果が高かった会場での取組を振り返る

常寂光寺,鳥羽,蹴上の各会場は,「今後のリーフ茶の利用」の問いに対して,「わからない」と答えた人の割合が一桁にとどまっています。特に鳥羽と蹴上はアンケート提出率が非常に高く,かつ回答の構成もよく似ています。実施した内容もほぼ同じで,日本茶インストラクターによる「おいしいお茶の淹れ方講習」を20分実施し,その後事業意図を伝える時間を5分設け,その間テント内で着席して参加してもらいました。たまたま似た結果になったのではなく,プログラムデザインにより得た成果であると思います。
常寂光寺は「展示館」と呼ばれる蔵のような建物内で,鳥羽,蹴上と同じようにクローズドで「おいしいお茶の淹れ方講習」実施しました。ここは「(ふだん)ペットボトル緑茶をよく利用する」「時々利用する」と答えた人の率が他より高く,そのような人にしっかりと講習を実施したことで,「(リーフ茶の利用が)確実に増えそう」との回答を多く得られたと考えられます。ただし,事業意図を伝える時間を設けませんでした。アンケート提出率が6割程度にとどまったのは,用意したアンケートが50人分で,想定を大きく上回る来場があったためです。

(2)各回の取組内容がアンケート結果に反映している

東福寺の書院では,アンケート提出率が半分以下にとどまりました。これは講演が主のイベントであったため,中間休憩時に茶を飲まなかった人があったこと(トイレや庭の鑑賞など),ポット周辺に人だかりができ,茶を飲めなかった人もあり,提出率が低くなったと考えられます。
また,「ふだん飲む茶の方がおいしかった」との回答率が最も高かったのもこの会場です。ここでは「ペットボトル緑茶をあまり利用しない」と答えた人の割合が最も高く,ふだんからリーフ茶の愛用者が多かったことが反映していると思われます。講演に興味を示して申し込んだ人たちであり,年齢構成も比較的高く,参加者の特徴がアンケート結果にはっきり出ていると思います。
このようにみていくと,各回の取組内容や参加者の特徴が,アンケート結果によく反映していると思われます。また回を重ね,後の開催会場ほど参加者の反応が良くなっています。参加者は毎回全く違う人たちであり,各会場での実施のたびに改善を加えていったことで,後の会場ほど高い成果を得られたと思います。

4. まとめと今後について

(1)アンケート結果から見える「より高い効果を得るための要件」

前項で紹介したアンケート結果等から「より高い効果を得るための要件」として考えられることを以下に記します。
・「おいしいお茶の淹れ方講習」の後,開催意図を伝える時間を設けた回は,アンケート結果により高い効果が反映している。
・「おいしいお茶の淹れ方講習」は,多くの人が行きかう場でも,集客しクローズな講習を実施することが可能。
・提供する茶種を絞った回の方が,参加者に開催意図がより伝わっている。
・講演と茶会は,必ずしも一緒に開催する必要はなく,別々に開催した方がそれぞれの意図がより伝わると考えられる。

(2)今後の課題

一方,幾つかの不足点も見えてきました。「おいしいお茶の淹れ方講習」を実施した会場(常寂光寺,鳥羽,蹴上)では,参加者の反応は良好でしたが,60歳以上の参加者が多くを占めました(常寂光寺では年代は未設問。鳥羽は58%,蹴上は66%)。開催目的を損なうことなく,50歳代以下の現役世代が参加しやすい工夫が必要です。
「今後リーフ茶の利用が確実に増えそう」「増やしたいと思う」と答えた人が,実際に行動に反映したか把握できていません。個人情報保護に配慮しつつ,本事業の関連サイト(http://kyoto-leaftea.net/)を活用し,「2R茶会」参加者から事後の行動について投稿を得る工夫が必要だと考えます。

(3)今後の取組

「2R茶会」としては,平成29年度も継続して実施しています。すでに鳥羽,蹴上で実施しましたが,その後の実施も現在準備中です。
「リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン」全体としては,大学生向けの環境教育プログラムを開発し,京都市内の複数の大学で実施するなど,「2R茶会」の参加者と違う層への働きかけをしています※。ただし,このプログラムでは実際に茶を試飲してもらう機会は設けていません。ペットボトル緑茶利用の多い世代の行動変容を促すのに,実体験は有効な手段です。「2R茶会」の要素も取り入れた改善を今後検討する必要があります。または一部モニターを募り,どのような情報でどのような行動変容が見られるかなど,学生を対象とした実験の実施も考えられます。
他,ウェブサイト掲載記事の充実も進めていますが,「2R茶会」との関連では,東福寺会場以降,参加者からアンケートと合わせて「リーフ茶愛好宣言」を任意で提出していただき,ウェブサイトに掲載しています。「2R茶会」の参加をきっかけに,愛好宣言のウェブ掲載などを通じて,本事業に継続して関心を持ってもらえるよう工夫していきます。
新たな分野との連携でいえば,アウトドア愛好者,著名な書店,川ごみ・海ごみ関係団体,若手茶道家などからの協力を引き出せるよう努めます。
以上のような取組を通じて,本事業を発展させていきたいと考えています。(以上)
(2017年6月7日公開)

 

※参考 「 リーフ茶サイトをベースにした大学生向け環境教育プログラムの実践報告」

リーフ茶サイトをベースにした大学生向け環境教育プログラムの実践報告

 

これまでの各会場の様子

常寂光寺会場にて(2016年12月11日)    常寂光寺会場にて(2016年12月11日)

梅小路会場にて(2016年12月4日)      東福寺会場(書院)にて(2017年3月25日)

東福寺会場(屋外テント)にて(2017年3月25日) 蹴上会場にて(2017年5月6日)

鳥羽会場の藤棚と芝桜(2017年5月1日)

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