カッコいい

主催者の本気度は湯茶の出し方でわかる ~会議のお茶からみえる,いろいろ~

大阪産業大学講師花嶋温子

こんな湯茶ならとっても素敵

ほら,ちょっと素敵でしょ。これは大阪府内の某市の秘書課の人がいれてくださったお茶です。たまたま,市長室関連の会議室しか空いていなくて,そこで会議をすることになったのですが,さすがです。ちょっと素敵な湯飲みと,「会議用お茶」よりは少しだけ高そうなお茶です。

写真1

大阪府内の43自治体に尋ねてみました

ふだん私は自治体の「環境審議会」や「廃棄物減量等審議会」などの会議に参加することが多いのですが,そんな会議ですらペットボトルが一人一人の前においてあることが多いのです。のどが渇いているときなどは,とてもありがたいのですが,やはり,少し疑問に感じます。ペットボトルやプラスチック製品をこんなに使ってしまっていいものだろうか。

そこで少し意地悪なアンケートを平成26年11月に大阪府内の43自治体に対して実施してみました。「環境審議会」と「廃棄物減量等審議会」でどのようなお茶をだしているかを聞いてみたのです。

するとやはり約半数の会議で個別のペットボトル飲料を提供していました。1/4の会議では飲料の提供はなく,1割の会議では,大型のペットボトルからコップ等に移し替えて提供していました。その場で入れたお茶を提供していたのは1割でした。また,リユースびんに入ったお茶を提供している会議が1つだけありました。

いろいろな事情があるのでしょうね…

もちろん,各自治体の担当者にもいろいろな事情があります。お茶をいれるための急須や湯飲みがないとか,衛生上の問題とか,人手が足りないとか,予算がないので管理職がポケットマネーでペットボトル飲料を購入しているとか,ペットボトルが安いからとか,以前からの慣例だからとか。その結果,いろいろなパターンのお茶がでてくるのです。

それでは,会議のいろいろなお茶をご覧いただきながら,ご担当者の思いを想像してください。

会議で出る「お茶」のいろいろ

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まずこれは,ペットボトルにプラスチックの使い捨てコップをつけてくださいました。ボトルからそのまま飲むよりは飲みやすいですが,ごみが増えてしまうのが難点です。

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こちらは,歓迎の気持ちを茶托に込めてくださいました。でも,ちょっと安定がよくないです。おもてなしの気持ちは受け取らせていただきました。

(写真4)
リユースカップに,大型のペットボトルからお茶をわけてくださいました。カップのマークが可愛いです。飲み心地はガラスのコップのほうがいいです。

(写真5)
紙コップと増量分に愛を感じますが,そんなにたくさん飲めません。

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リユースびんのお茶に,ガラスのコップとコースタ−,素敵です,ありがとうございます。

(写真7)
氷までいれくださいました。夏らしいですね。

(写真8)
まさに会議のお茶です。今となってはなんだか懐かしい雰囲気です。

(写真9)
なぜか缶入りのお茶が会議で提供された記憶はあまり多くありません。ペットボトル入りのお茶が普及した時期と、会議のお茶が使い捨て容器に入ったものになった時期とが一致するのでしょうか。

(写真10)
紙パック入りですが,裏にこんなことが書いてありました。間伐材を使っていて,売上げの一部を森林整備に寄付しているそうです。

(写真11)
紙コップですが,持ち手がついています。持ち手の部分は繰り返し使うようです。中身のお茶はペットボトル茶のようです。

お茶は会議の重要な要素。もっと良くするために考えましょう

会議のお茶にも色々なバリエーションがあります。それぞれ,様々なご事情のなかで,お茶をいれてくださるのでしょう。環境負荷だけで全てを決めることはできませんし,費用だけで全てがはかれるわけでもありません。レトロな湯飲茶碗のお茶がすたれたのには,以前の性別役割分担のしくみを打破するために一時的には仕方なかったのでしょう。

たかがお茶ですが,されどお茶。実は会議の重要な要素です。思考を停止せずに,「もっと良く」するためにはどうしたらいいのか,お茶でも飲みながら一緒に考えてみませんか。(2016年10月24日公開)

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