2019年春、鳥羽、蹴上で開催した「2R茶会」の成果報告

京都市上下水道局とのコラボ企画

2019年4月から5月にかけてのゴールデンウィーク中、京都市ごみ減量推進会議は、京都市水道施設の一般公開に合わせて、4月27日(土)と5月3日(金・祝)の2日間、「おいしいお茶の淹れ方講習」を開催しました。
日本茶インストラクターを招き、宇治茶の主産地京都府和束町で採れたばかりの新茶を用いた贅沢な講習ですが、「お茶の淹れ方」だけではありません。最近、ペットボトルリサイクルが大きな壁に直面していますが、何が起きているのか、「2R」に関する情報も伝えていく「2R茶会」として位置付けて開催しています。

過去最多の参加者数

4月27日は鳥羽水環境保全センター、5月3日は蹴上浄水場で開催しました。この時期、鳥羽はフジ、蹴上はツツジで見事に咲き誇り、多くの市民が来場されました。
両会場に15席程度用意したテントを設置し、テント前を通る人たちに声をかけ、10数人集まるたびに講習を開催しました。予約は一切とらず、朝から夕方まで、昼食時間以外休みなく実施し、鳥羽会場は130人、蹴上会場は203人、計333人に参加してもらいました。水道施設での開催は今年で3年目ですが、参加者数は過去最多でした。今年は10連休のほか、好天に恵まれ、花の開花とうまく重なったことも参加者の大幅増につながりました。

講習後に伝えた2R情報

20分ほどの「おいしいお茶の淹れ方講習」の後、5分程度で以下の情報を伝えました。
■近年、ペットボトル飲料が急増しているが、その中で特に増えているのがミネラルウォーターと緑茶飲料。
■一方、国内の茶葉生産量は急減している。
■ペットボトルリサイクルでは、大量の廃ペットボトルの海外輸出が常態化していた。
■主な輸出先だった中国が、ペットボトルを含む海外からの廃プラ輸入を禁止した。
■今でも国内各地の川で多くの散乱ペットボトルが見つかり、内陸都市も海ごみ問題と無関係ではない。
などです。

 

アンケートで尋ねたこと

ひと通り情報をお伝えした後、アンケートを書いてもらいました。アンケートでは、以下のつのことについて尋ねました。
■今後のリーフ茶の利用(リーフ茶とは茶葉から淹れる茶のことで、茶種は問いません)
■ふだんのペットボトル飲料の利用(緑茶飲料に限らず)
■今後のペットボトル飲料の利用
以上の3項目は2017年度から尋ねていますが、今年度は以下の質問を追加しました。
■空き容器のリサイクルや放置容器の回収は、今も多くの税金やボランティアの労力に頼っていますが、もし利用者に商品代に含めてその費用を負担してもらうなら、追加費用は何円程度がよいと思いますか。

図をクリックすると大きく鮮明になります。

アンケートの結果 「ペット飲料よく利用する」が大幅減

結果はグラフの通りです。「ふだんペットボトル飲料をよく利用する」と答えた人は、講習参加者の2割以上(21.4%)でしたが、ひと通り情報を聞いてもらった後に「今後の利用」を尋ねたところ、「今後もよく利用する」と答えた人は、3分の1近く(7.6%)まで減りました。
社会的費用の商品価格への内部化(追加)でも、「5円程度ならよい」と答えた人が56.1%、「10円程度ならよい」と答えた人(20.5%)と合わせると4分の3以上になりました。
対象は特に環境意識が高い人たちではなく、全くの一般市民です。短時間ですがしっかりと環境情報を伝え、魅力的な代替手段(リーフ茶)を体験してもらった場合、ペットボトル飲料に対するリデュース(減量)意識を高めることも、利用者に追加負担を求めることも十分可能であることが示せたと思います。

さらに広がれ、脱プラ、減プラの波

海ごみ問題の深刻化をはじめ、世界が脱使い捨てプラスチックに向かおうとしている中、日本も変革が必要です。そのためにはあらゆる機会を通じて、市民への情報提供や啓発がますます重要になります。「おいしいお茶の淹れ方講習」と合わせた取組は、おくまで一例です。各地で様々なアイデアを盛り込んだ取組が発案され、実施されることを期待しています。

(京都市ごみ減量推進会議事務局堀孝弘)

ページの先頭へ