平成の茶会in常寂光寺「晩秋の嵯峨で楽しむおいしいお茶」開催報告

平成の茶会 in 常寂光寺「晩秋の嵯峨で楽しむおいしいお茶」開催報告

場所 京都市右京区嵯峨小倉山町 常寂光寺境内 展示館
日時 平成28年12月11日 13時から15時
日本茶インストラクター 松石三重子さん 松石博美さん

常寂光寺で「平成の茶会」を開催した縁

洛西嵯峨の名刹,常寂光寺で2度目の「平成の茶会」を開催しました。一週間前に梅小路公園で開催した時と同様,日本茶インストラクターの松石三重子さん,同じく松石博美さんを京都府和束町から招き,観光で来られた方々に,おいしいお茶のふるまいをしました。
ここは,藤原定家が小倉百人一首を編んだといわれる庵跡があるなど,由緒あるお寺ですが,先代ご住職長尾憲彰さんは「美しい嵯峨野をまもる会」を立ち上げ(1975年),観光客が付近に放置する空き缶を自ら回収してまわるなどの活動もされていました。飲料容器の主役は,缶からペットボトルに変わりましたが,ワンウェイ容器の増加は続いています。「リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン」の平成の茶会を開催する場として,これ以上の場所はないと思い,現ご住職長尾憲佑さんに今回の開催をお願いしたところ,快く了承してくださいました。

近年は暖冬となることが多く,12月の初旬でも秋の風情が残っていることもあり,「晩秋の嵯峨で楽しむおいしいお茶」とタイトルを付けました。ところが今年の冬は早く訪れ,開催した12月11日には紅葉は終わっていました。すっかり冬枯れの景色となりましたが,それだけに暖かいお茶が訪れた人たちの喉だけでなく,心も潤したことと思います。
この日の来場は約80名。51人がアンケートを提出してくださいました。うち「ペットボトル緑茶をよく利用する」は18名。「時々利用する」は24名の回答がありました。今日お茶を飲んでいただき,19人から「今後リーフ茶の利用が確実に増えそう」,27人から「増やしたいと思う」という回答をいただきました。

当日は,NPO法人暮らしデザイン研究所の森下真紀さん,西本雅則さんがスタッフとしてお手伝いくださいました。以下,西本さんから「おいしいお茶の淹れ方」を中心にレポートしてもらいました。

お茶の時間を楽しもう!日本茶のおいしさを再確認
~「平成の茶会」で観光客もびっくりの最高級日本茶体験~

NPO法人暮らしデザイン研究所理事 西本雅則

 平成28年12月11日午後,初冬の嵯峨・常寂光寺という贅沢なロケーションで、最高級の和束町産宇治玉露と宇治煎茶をいただきました。日本茶インストラクター松石三重子さん、松石博美さんのお茶にまつわる楽しいトークとともに、おいしい淹れ方のレクチャーを受けながら、ペットボトル茶では味わえない、急須で淹れるお茶で「香りや色、そして味」を楽しむ優雅な時間を過ごしてきました。本物の持つ魅力を再認識した「平成の茶会in 常寂光寺」をレポートします。

<おいしいお茶の淹れ方と、楽しみ方を紹介します。>

基礎知識

・この日用意したお茶は2種類(玉露・煎茶)
煎茶は日当たりを良くして栽培します。玉露は茶畑に日よけ(寒冷紗)をし、20日以上日陰の元で栽培するために、煎茶よりも旨味と甘味が強くなります。

手順

(1)急須に入れる茶葉の量(1人2g、5人分が上限)
ティースプーン1杯が2gなので、1人2gに人数分を急須にいれます。この時に、多くいれると味が濃くなるので10gを目安に玉露の葉をいれています。今日の茶葉のような上質なものは重くなるので、量は少な目にします。

(2)急須に入れるお湯の温度(最初の一煎目は人肌、徐々に上げていき五煎目には70度)
熱湯をポットから急須に入れ替えと徐々に冷めるので、これを3回ほど繰り返すと人肌になります。
最初の一煎目はこの温度で入れます。徐々に温度を上げて五煎目くらいで少々熱いと感じる温度(70度位)でいれてみると、渋みがでてくるので変化を楽しみましょう。

(3)急須に入れるお湯の量(湯は浸る程度。高級なお茶は少な目に)
湯は茶葉が浸る程度で入れ過ぎないことと、雑味の原因になるから急須は振らないことがポイントです。
茶葉がお湯を吸いはじめて、まだ開いていない頃が入れ時。入れ方は、茶碗の数だけ順に少しずつ、全部が均等な濃さになる様に入れます。最後の一滴まで注ぎきると、旨味が凝縮されます。
※(豆知識)宇治の茶は撚りが掛かっているので振らないが、静岡の深蒸し茶は振って淹れるそうです。

・最後は茶葉をおいしく食べる
上質な茶葉は最後までおいしくいただけます。お茶で楽しんだ後は、茶葉にポン酢を少し掛けておいしく食べて「ごみ減量!」。5月の新芽の柔らかいところを使っているのでおいしくいただける。手間暇掛けた茶葉なので、最後までいただきましょう。

 

松石三重子さんからのメッセージ

~味の変化を楽しむ(最初は甘味・旨味・香が楽しい、最後は徐々に渋みがでてまたよろしい)~

ペットボトルのお茶にはなく、急須で淹れたお茶にあるのは香りや色を楽しむこと。そして味わうこと。舌の上で玉を転がす感じでいただく(まさに玉露)。とてもまろやかなお味で、旨味たっぷり。茶葉に含まれるアミノ酸の味を楽しんでください。苦い渋いはお湯の温度が高いと出てきますので、これも変化を楽しみます。少し高級なお茶を一袋買って、淹れ方をいろいろ試して、飲み方を楽しんでください。楽しい時間が過ごせると思います。

 

 

以上

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