今こそ脱プラ!セミナー第4回(12/2)原田禎夫先生報告・前半

今こそ脱プラ!講座第4回のメイン講師は,大阪商業大学原田禎夫准教授に務めていただきました。今回のテーマは,「解決策を考える その3 確実に回収する」。

前半は,海ごみ,川ごみの現状について報告していただきました。もともと9月30日の本セミナー第1回で報告予定でしたが,当日大型台風が接近したためセミナーを中止しました。その時の報告予定内容を,今回あらためて報告していただきました。
以下の記事は,前半の「海・川のプラスチック汚染の今」までです。

第4回概要
テーマ  解決策を考えるその3「確実に回収する」
開催日時 2018年12月2日(日)13時30分から17時まで
会  場 パタゴニア京都店3Fイベントルーム(京都市下京区)
参 加 者 35名(講師スタッフを含めて40名)
講  師 原田禎夫さん(大阪商業大学准教授)
主  催 京都市ごみ減量推進会議
後  援 京都府,京都市,関西広域連合,京アジェンダ21フォーラム

◆原田先生の報告概要

□海・川のプラスチック汚染の今
・海のプラスチック汚染
・淀川水系のごみをしらべてみた!
 ≪今回の記事はここまで≫
□では、どうすれば川や海のごみは減らせるか?
①共感で広がる河川清掃の輪
・オンラインごみマップによるモニタリング
②経済的インセンティブの活用を!
・レジ袋有料化の効果
・海外におけるデポジットの導入事例
・ペットボトルのデポジット制度導入への賛否
□世界で広がる脱プラスチックの動き

◆海・川のプラスチック汚染の今

・海の生き物への深刻な影響

東京湾のイワシの7割、琵琶湖の魚の4割の内臓からマイクロプラスチックが見つかっている。マイクロプラスチックとは,5mm以下の小片になったプラスチック。洗顔剤や歯磨きのスクラブのように,もともと小さな粒もあるが,環境中で細かく破断され小さくなったものもある。
海外ではムール貝やカキの体内からも見つかっている。死んだ海鳥を解剖すると,胃の中が様々なプラスチック片で埋め尽くされていることがある。消化できないプラスチック片が消化器官に詰まり,栄養を摂取できなくなり,死んだと思われる。その他,レジ袋やプラスチック製のバンドなどが首や胴体に巻き付いたり,鼻に詰まるなどして死んでしまう海洋生物も多く報告されている。

・人間の生活も無関係ではない

マイクロプラスチックは,世界の食塩のほぼすべてから見つかり,世界の水道水の8割から検出されている。海洋プラスチックごみは,2050年には重量でみた場合,魚より多くなるとの予測もある。そのような海洋プラスチックごみは,東アジア,特に日本近海の濃度が世界平均よりかなり高くなっている。そのような海洋プラスチックごみの大半が陸地から流出したものである。

・漂流・漂着ごみの実態

海洋プラスチックごみと私たちの生活とのつながりは深い。近年,北太平洋の巨大な漂流プラスチックごみの島(太平洋ごみベルト)の実態が明らかになってきた。1兆8,000億個,8万トンと推定される漂流プラスチックのうち,3割が日本製で最も多いという。
沿岸への漂着ごみで見ても,日本から流出しているプラスチックごみの多さがわかる。報告者である原田准教授が京都府舞鶴市の沖に浮かぶ冠島(無人島)で実施した,漂着ペットボトルの製造国調査では,韓国(20%)や中国(15%)から流れ着いたと思われる漂着ごみもあったが,日本製が55%で最も多かった。

・淀川水系のごみをしらべてみた!

日本から多くのプラスチックごみが流出していることは,川ごみ調査によっても明らかである。保津峡での調査でも多くのプラスチックごみが見つかり,上位を占めている。特に飲料用ペットボトルが群を抜いて多い。関西広域連合「琵琶湖・淀川流域対策に係る研究会」による調査では,京都市内でも多くの川ごみが見つかることを報告している。
淀川水系は,大阪湾を通じて瀬戸内海とつながっている。陸地からの流入ごみが全体の7割近くになるが,淀川水系から流入するごみが最も多い。さらには陸に囲まれた瀬戸内海でも,海洋浮遊ごみの半分以上が外洋に流出しているという調査がある。

・飲料用ペットボトルの消費増がもたらす影響

東京・荒川で清掃活動に取り組むNPO法人荒川クリーンエイドフォーラムの川ごみ調査で最も多いごみは,8年連続でペットボトルだった。荒川で回収されるペットボトルごみは,飲料用ペットボトルの生産量の伸びに比例して増加している。
全国川ごみネットワークは,各地の川ごみ調査の結果から,全国の河川に放置されるペットボトルの量を4,000万本と試算している。ただしこれは,飲料用ペットボトルの年間消費量の0.2%に過ぎない。たった0.2%の放置・流出でも,たいへんな状況が生まれている。
それほど多くの飲料用ペットボトルが消費されている。中でもミネラルウォーター類と緑茶飲料の伸びは,他の品目と比べて著しい。ペットボトル飲料の消費増に伴い,回収されリサイクルされるペットボトルも増えているが,2017年まで毎年20万トン前後の回収ペットボトルが,海外に「輸出」されていた。その中で最も量の多い輸出先が中国で,2018年より海外からの廃プラスチック(ペットボトルを含む)の輸入を禁止した。

以上

以下,では、どうすれば川や海のごみは減らせるか? に続く

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