どうして「リーフ茶の普及」なの?

リーフ茶の普及を進める理由

「リーフ茶」とは,茶葉から淹れる緑茶のことです。そのリーフ茶と環境問題をめぐっては,様々な視点が存在します。ここでは以下について取り上げ,リーフ茶の普及を進める理由を紹介します。

  • 緑茶の消費が近年大きく減っている
  • 緑茶といえば,ペットボトルしか知らない人が増えている
  • 京都の,日本の暮らしの根底
  • 重要な地場産業
  • 多くの人が,お茶の本当のおいしさとまだ出会っていない
  • 暮らしの中のゆとりや「間」の大切さ
  • リーフ茶の利用はとってもお得

緑茶の消費が近年大きく減っている

この活動を始めたのは2016年秋。前年度(2015)の日本国内の緑茶消費量は8万トン弱でした。2005年が11.4万トンでしたので、たった10年で30%以上も減りました。図1には,ペットボトル入り緑茶の生産に使われる茶葉も含んでいます。ですが,この間のペットボトル入り緑茶の消費は,ほぼ横ばい(図2参照)。つまり「緑茶消費量の減少」といっても、減ったのはリーフ茶ばかりだと考えられます。

図1 緑茶の国内消費量
(図1には輸入茶葉も含んでいますが,近年輸入茶葉の量は少なくなりました。)

緑茶といえば,ペットボトルしか知らない人が増えている

緑茶の消費は減っても,「緑茶飲料」は減っていません。緑茶飲料とは,缶やペットボトル,紙パックなど,様々な容器で売られている液体の緑茶です。容器は多種ありますが,緑茶飲料の95.5%がペットボトル入りで売られています(平成27年度)。
緑茶飲料は,最近20年前で5倍以上に増えました。いつしか「緑茶と言えば,ペットボトルに入ったものしか知らない」という人が増えてきました。実際,お茶を淹れた経験のない人や,お茶の淹れ方を知らない人が珍しくなくなりました。
一方,それによりペットボトルのごみが増え,リサイクルのための労力や費用など,社会的な負担も増えました。
(ペットボトルが増えて発生している問題については,「どうして,『ペットボトルを減らそう』なの?」でお伝えします。)
図2 緑茶飲料の消費

京都の,日本の暮らしの根底

茶道のような畏まった場を持ち出すまでもなく、「日常茶飯事」や「お茶の間」「茶柱が立つ」「へそで茶を沸かす」など,茶という言葉が入った熟語やことわざが数限りなくあるように,「茶」は私たちの暮らしと深いつながりがあります。
それだけでなく,建築、庭園、衣服、陶芸、絵画といった日本の文化や美意識の隅々にいたるまで,「茶」は深い影響を与えてきました。※
ところが今では,前述のように「お茶を淹れた経験のない人」が増えてきました。先人が培い,大事にしてきた文化の根底が失われてしまうかもしれません。

NHK教育テレビ「100分de名著,岡倉天心,茶の本」2015年1月放送分より

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重要な地場産業

京都府南部は,宇治茶の産地として全国的にも有名ですが,北部にも良質なお茶の産地があります。南北に産地をひかえる京都市内には、茶を扱う茶商や問屋が多くあります。
また,静岡茶とゆかりの深い洛東の名刹東福寺をはじめ,全国の茶産地と京都は,直接・間接の関わりがあります。全国の茶産地もまた,それぞれの地域の人々の暮らしや文化を支えてきました。
最近では,抹茶がスイーツの原料として重用され,抹茶の原料てん茶の生産は増えています。ですが,茶全体の栽培面積は減り続けています。そのような中,伝統的な茶畑の景観保全やエコツーリズムの開発,茶を活かしたまちおこしや人づくりなど,様々な取組を行っている茶産地もあります。
京都や,日本の文化や暮らしを支えてきた,地域の地場産業を応援したい,「リーフ茶の普及」にはそのような思いもあります。

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多くの人が,お茶の本当のおいしさとまだ出会っていない

「お茶なんて,誰が淹れてもたいした変わりはない」と思いがちですが,湯の温度や浸す時間の工夫で各段に味が変わります。「おいしいお茶の淹れ方」をマスターした日本茶インストラクターが淹れたお茶(煎茶)を飲んだ人たちが,異口同音に「今まで飲んでいたお茶と味が違う」と驚きの声をあげています。まだまだ多くの人に,お茶の本当のおいしさに出会っていただきたいと思います。

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暮らしの中のゆとりや「間」の大切さ

「お茶を淹れる」ためには,時間のゆとりや,淹れるための技術が必要です。時間に追われる暮らしは,お茶に限らず,「自分で作る」「修理する」など,手の技を活かすことより,なんでも買ってきて済ます(買い替える)暮らし方を広めました。なんでも買える暮らしは,一見すると「便利」で「豊か」なようですが,お金がなければ何もできない暮らしでもあります。
結果,お茶を飲むことも、単なる「水分補給」になりつつあります。一方,なんでも買って済ます暮らしは,多くのごみを生み出し,大量のエネルギーを必要とするようになりました。
「お茶を淹れる」ことを通じて,暮らしの中のゆとりや豊かさを見つめ直すきっかけを広めたいと思います。

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リーフ茶の利用はとってもお得

缶やペットボトルに入った緑茶100mlあたり価格は,10~30数円になります。

缶入り 350ml(1本価格120円の場合) 34円
ペットボトル入り(小) 500ml(1本価格150円の場合) 30円
ペットボトル入り(大) 2ℓ(1本価格200円の場合) 10円

これに対して,リーフ茶の場合,番茶やほうじ茶の1杯(100ml)あたり価格は,5円~10円台。高級な煎茶でも25円~30円程度。良い茶葉ですと,二煎目以降もおいしくいただくことができます。リーフ茶の利用は,缶やペットボトル入り緑茶よりもずっとお得です。

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まとめ

ペットボトルはとても便利な容器ではありますが,便利さゆえ,ペットボトルに入った緑茶しか知らないという人も増えてきました。文化や地域振興などから見ても,また環境問題の根本ともいうべき「時間のゆとりの喪失」など,様々な側面から見ても,「リーフ茶を淹れる,自分で淹れる」ことの大切さを,多くの人に再確認してもらいたい,そのような思いから,「リーフ茶の普及」につながる情報発信やイベント等を進めていきます。

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