こんな時だからこそ、減らせるごみ「PETボトル消費の現在位置」

日本のプラごみ全体891万トン

4月1日配信の「こんな時だからこそ、減らせるごみがないか考えましょう」で、減らせるプラスチックとして、PETボトルをあげました。もちろんPETボトル以外にも多くのプラスチックごみ(以下、プラごみ)が排出されているので、「これだけを減らそう」と言っているわけではありません。あくまで一つの例です。ですが、あらためて消費量を確認すると、減らす対象として取り上げた意味を理解していただけると思います。

その前に、日本国内から出たプラごみの総量をみましょう。2018年度は約891万トン※1。この中にはPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)だけでなく、種々雑多なプラスチック(中には複合材もあります)が含まれています。また、家庭だけでなく、工場で出た生産ロスや事業所から排出されたものも含まれていますし、廃自動車や廃家電製品から出たプラごみや、日用品や家具、玩具など、あらゆるプラごみを含んでいます。
日本国内から出るプラごみは、近年減る傾向にあり、2017年度と比べても、若干減っています(図1)。ただ、図2の通り1980年から2000年までを振り返ると、プラごみの発生量は約3倍に増加しています。2001年以降は後述のように、ゆっくりと減少しています。

図1 日本のプラごみ排出量・2017年度と2018年度の比較

図2 国内でのプラスチックごみ排出量

PET樹脂の需要量は74万トン

これに対して、2018年度のPET樹脂需要量は約74万トン。このうちプラスチック材質マークの表示義務のある「指定ボトル」用の樹脂として、68.6万トン用いられました。このマーク(PET・1番)の付いたボトルは、使用後は、他のプラスチックと分けて、排出することが求められます。

指定ボトル以外の約5.5万トンのPET樹脂は、化粧品や医薬品、シャンプー、洗剤、食用油などの容器に用いられました。これらは中身商品が油を含み簡単に洗浄できないものや、商品保護のため色付きの容器もあり、使用後の分別では、1番の「PET」と分けて、「プラスチック製容器包装(その他プラ)」として排出が求められます。

他のプラスチックごみと比べると

国内で消費されたPET樹脂の約88%にあたる65.3万トンが清涼飲料容器として用いられました2。その多くが回収されリサイクルされていますが、ほとんどが製造からごく短期間で「使用済み」になります。

冒頭に書いたように、2018年度のプラごみの総量は891万トン。うち建設廃材から出たプラごみが61万トン、家庭用品・衣料・家具・玩具から出たプラごみの総計が67万トン3。これらと比べると清涼飲料水の容器に用いられたPET樹脂だけで65万トンになるのですから、かなりの量であることがわかります。

まだまだ増え続けているPETボトル

さらに多くの人が実感されている通り、近年急増し続けています。1995年から2018年までの23年間で消費量は4倍以上増えています。プラごみ全体では、2001年をピークにゆっくり減少していますが(図2)、清涼飲料用PETボトルは、同じ期間も増え続けました。2017年度から2018年度の1年間だけを見ても8%増えています(図3)4。図3を見ると、PET樹脂の用途で増えたのは、ほぼ清涼飲料容器だけであることがわかります。

消費の増加は、消費者の支持の現れでもありますから、それ自体悪いことではありません。問題は増えたことで何が起きているかです。この続きは、「どうして「ペットボトルを減らそう」なの?」に以下の内容の記事をあげていますので、そちらをご覧ください。

「どうして「ペットボトルを減らそう」なの?」

  • 消費の増加と後追いリサイクル
  • 今も放置ペットボトルがいっぱい
  • 海外に頼ったリサイクル
  • 自治体費用の増大
  • 地球温暖化をはじめ環境への影響

図3 PET樹脂の用途と消費の推移

データの出典

1 一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識20192018プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況マテリアルフロー図より
http://www.pwmi.or.jp/data.php?p=panf 2020118日確認
2 PETボトルリサイクル推進協議会資料より 食品以外の非指定PETボトルを含む
3 ※1と同じ
4 PETボトルリサイクル推進協議会資料より 指定PETボトルのみ

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