使い捨てプラへの全面転換は、過剰反応ではないか

使い捨て容器の選択は感染症対策として有効なのか

複数のコーヒーチェーンで、新型コロナウィルスによる感染症の予防対策として、店頭でのマグカップによる提供や、客持参のマイボトルへのテイクアウトコーヒー供給の停止、さらには店内で用いる皿、スプーン、ナイフ、フォーク(カトラリー)に至るまで使い捨てプラスチックに変える店舗があらわれています。
まず仮に、感染者が店舗を利用したとして、容器や皿、カトラリーを使い捨てタイプにすれば、感染予防になるのでしょうか。しっかり洗浄した容器やカトラリーを通じて、感染症が広がったという事案は、今回の新型コロナウィルスに限らず聞いたことがありません。
従業員が空き容器や使用済みカトラリーを回収することで感染リスクが高まるという心配があるなら、こまめな手洗いや薄手のプラスチック手袋の着用で対応できると思います。もちろんプラスチック手袋も使い捨てプラですが、容器等を1つ回収するごとに脱着・処分するわけでなく、廃棄量は使い捨て容器・カトラリーの使用よりはるかに少ないはずです。

マグカップやマイボトルだけ、ねらいうちしていない?

感染症予防対策としては、注文カウンターに並ぶ客の間隔を空ける、店頭での現金授受の廃止、店内の机・椅子を間引きして客が座る間隔を空けるなど、他にも様々な対策が必要と思います。また、マスクなしでの長時間のおしゃべりも感染リスクを高めます。店内でそのようなお客さんを見かけたらマスク着用をお願いする、そこまでやったうえでの使い捨て容器・カトラリーの使用なら、「一貫性」は感じます。ですが、マグカップやマイボトルがねらいうちされた感があります。
本当に、洗浄したリユース容器やカトラリーの使用が、感染リスクを高めるのであれば、その根拠も示してもらいたいですし、もしそれが十分な根拠に基づくものなら、すべての飲食店がそれに倣う必要があるでしょう。

回収したプラはどうするの?

まだまだ気になることがあります。使い捨てプラ容器等は回収後、どうするのでしょう。今に始まったことではありませんが、分別回収といっても雑紙の混入や食べ残しの付着などもあり、リサイクル業者は喜んで引き取りません。
日本全体の話ですが、これまで国内で発生した使用済みプラの多くが、途上国に輸出されていました。それも、2017年末の中国の廃プラ禁輸以降できにくくなりました。仮に受け入れる国があったとしても、「感染症対策」という名目で使い、回収したプラごみをどこかに押し付けるのは大きな問題です。
となると、燃やすしかないのか…。温暖化対策はどうなる…。

今、気になるのは

とはいえ、このような状況ですので「今は使い捨てプラの方が安心」と思う人や店舗もあるでしょう。ですが、プラスチック大量使用の見直しは、世界的な課題です。使い捨てプラへの転換を、どのタイミングで元の対応に戻すのでしょう。たとえ緊急対応だとしても、この間増やしたプラごみ分の環境負荷を、後々どのような対策で取り戻すのでしょう。
一方、使い捨て容器・カトラリーへの転換を「過剰反応だ」と思う人もいます。コーヒーを飲むならまずは個人経営、地元資本の店を優先したいと思います。全国展開のコーヒーショップでも、マグカップ、グラスでの提供を続けている店もあります。どの店がどのような対応をしているか、注視していきたいと思います。

京都市ごみ減量推進会議事務局

追記 この記事をWebアップしたのが2020年3月中旬。その後、状況の深刻化で店舗の対応も、上に例としてあげた客席の間引きや注文レジに並ぶ際の間隔の確保などが採り入れられるようになってきました。それらの対策を歓迎しつつ、店舗従業員さん、来客者への感染が広がらないことを願します。

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