リーフ茶大学講義成果報告 平成30(2018)年度も大きな成果が出ました。
リーフ茶講義,今年度も5校8クラスで実施
昨年度に続き平成30年度も,主に京都市内の大学にゲスト講師として招いていただき,リーフ茶を主なテーマに,ペットボトルリサイクルの現状や川ごみ,海ごみ問題とのつながりなどを講義する機会を得ました(リーフ茶大学講義と呼んでいます)。
今年度は5校8クラスで実施する機会を得ました。うち651人の学生からアンケート提出を受けましたので,そこから見える成果を報告します。
アンケートの内容
アンケートでは昨年度に続き,「ペットボトル飲料(緑茶飲料に限らず)の利用頻度(講義前後の変化)」を尋ね,今年度新たに「中学校または高校で,分別後のペットボトルについて学んだり,調べたことはありますか」という質問を加えました(図1)。
他2クラスで「特に印象深かったパート」について尋ねました。配布したアンケートを図1に示しています。ただし上記のように一部設問を変えているクラスもあります。(女子大学では性別を問う枠は外しています。)各クラスの回答内容は表2の通りです。
アンケートの結果から見える成果
「ペットボトル飲料の利用頻度」について,講義前後の変化を尋ねました。講義前の質問で「よく利用する」と答えた学生は,全校で38.5%とほぼ4割でしたが,講義後は8.5%と4~5分の1に減りました(いずれも回答者中の割合)。ここでは,500ml換算で平均1日1本以上の利用を「よく利用する」,数日で1本を「時々利用する」として答えてもらいました。
また講義後,「少し減らす工夫をしてみようと思う」と答えた学生が回答者中の4分の3以上を占め,「これまで同様あまり利用しない」と合わせると,9割以上の学生に減量意識をもってもらうことができました(図2)。
図2 ペットボトル飲料の利用頻度(講義前後の変化)
中学・高校での環境教育
今年度新たに,「中学校または高校で,分別後のペットボトルについて学んだり,調べたことはありますか」という質問を加えました。
ほとんどの学生が小学校でペットボトルをはじめとした分別の大切さを学んでいます。小学生にわかりやすく伝え,行動実践してもらうための情報としては,「分別の大切さ」までで良いと思います。ただ,その先には,使い捨てプラスチックの増加による様々な問題があります。
リサイクル費用を誰がどのように負担するか,「資源ごみの輸出」問題,まだまだ多い放置プラごみは海ごみ問題にもつながります。循環経済(サーキュラーエコノミー)やSDG‘s,ESDなど,新しい言葉や考え方が次々と入ってきて,「分別・リサイクル」を入口にした環境教育はともすれば言い尽くされた新鮮味のないものに受け取られがちです。ですが,入口にとどまらず奥に入ると,今の社会が置き去りにしてきた様々な問題が見えてきます。
理解力が増し,社会経験が増すのに合わせて「分別して終わりではなく,その先がある」ことを学び知る機会をもってほしいと思いますが,半数以上の学生が「学び,調べたことはない」と答えています。「学んだり,調べたことはあるが,小学校で得た情報とほとんど変わらなかった」という学生と合わせると,4分の3以上になります。そのほとんどがそのまま社会人になると思われます。
効果の持続の検証
8クラスのうち1クラスで,講義6週間後にフォローアンケートを実施し,講義効果の持続について調べました。実施したのは京都外国語大学畑田彩准教授の担当講義で,10月31日の講義に対して,12月12日にフォローアンケートを実施しました。
このクラスの場合,10月31日の講義前,ペットボトル飲料を「よく利用する」と答えた学生は37.5%でした。講義直後のアンケートでは5.9%まで減りましたので,6週間後の20.9%という数字にはリバウンドが見られます(図4)。ですが,講義前の37.5%と比べると,44%の削減効果があったといえます。
「減らすようにした工夫や,その他実践があれば教えてください」という質問には,47人が記述回答してくれました。うち28人が「水筒を持参するようになった」等の回答をし(他,空きペットボトルの再使用4人),「家でお茶を淹れるようになった」等の記述も7件ありました。「外で飲料を買わなくなった」「買う頻度を減らした」等の記述も11件ありました。
図4 リーフ茶講義6週間後の効果の持続
10月31日の講義では,本会議が運営する京都市内の日用品等の修理・修繕をしてくれる店,リユースショップ(リサイクルショップ)の紹介をした「もっぺんサイト」の紹介もしましたので,フォローアンケートでは,不要品になったものの扱いや,いつの間にか家に溜まるストックごみについても尋ねました。その質問も含めた結果を表3にあらわします。
表3 フォローアンケートの結果(モノとのつきあい,ストックごみについて)
昨年度のリーフ茶大学講義との比較 アンケートの精度向上
昨年度も,京都市内の5大学8クラスで同様の講義をする機会を得ました。その時も学生たちからアンケートの提出を受け,結果を公開しています※。
この報告のなかに,講義前後のペットボトル飲料の利用について尋ねた結果を掲載しています。講義前「よく利用する」との回答が39.3%でしたが,講義後は8.2%に減っています。割合の変化は昨年度と今年度でほとんど変わりません(図5)。このことから,日常的にペットボトル飲料を利用している大学生であっても,きちんと情報を伝えることでリデュース意識を持ってもらうことが十分可能であることを明らかにできたと思います。
ただし,講義前後で質問の記載者数が異なります。講義前はアンケート提出者769人中718人が記載し,講義後の記載は769人中584人にとどまりました。講義の前後とも質問への不記載がかなりありました。講義途中からの入室や,できるだけ早く退出しようとして講義後の質問に答えずにアンケート提出した者,また単純に質問に気づかなかった学生が居たことなど,様々な要因が考えられます。
この点,今年度はアンケートの記載呼びかけを強化し,全アンケート提出数651のうち,講義前質問の記載647,講義後638と記載率が大幅に向上しました(図2参照)。利用頻度の結果数値はほとんど変わりませんが,アンケートの精度は格段に向上しています。
同様のアンケートでも,回数を重ねることで精度を高めることができることを感じました。(以上)
図5 講義前後の意識変化(ペットボトル飲料の利用について。昨年度)
※「リーフ茶の普及で…」大学生向け環境教育プログラム 平成29年度実施報告
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