美と健康の源だ

祇園祭エコ屋台村で開催した「おいしいお茶の淹れ方講習」レポート

京都大学 エコ~るど京大実行委員小川由

祇園祭エコ屋台村での「おいしいお茶の淹れ方講習」のねらい

平成29年7月22日,祇園祭後祭のエコ屋台村にて,京都市ごみ減量推進会議により「おいしいお茶の淹れ方講習」が開催されました。当日スタッフとして参加しましたので,「おいしいお茶の淹れ方」を中心にレポートします。
講師は,お茶の名産地,京都府和束町から来てくださった日本茶インストラクターの松石三重子さんと松石博美さんです。
ごみ減量とおいしいお茶,一見つながりは見えづらいものかもしれませんが,実はそうでもないのです。今回の講習が開かれた背景としてまず,ペットボトル茶の普及があります。このために自分で茶葉からお茶を淹れる人が減ってきており,リーフ茶がピンチの状況なのです。自分でお茶を淹れてゆっくり楽しむというのは素敵な日本文化であるにもかかわらず。
そして,別にペットボトル茶でも美味しければいいではないか,という意見があるかもしれませんが,そのペットボトルの処理,リサイクルを日本は今,約40%以上を海外に依存しており,これ以上リサイクルに頼るわけにはいかない状況です。それに,自分で淹れたお茶の方が実際にペットボトル茶よりも美味しいのです。今回のねらいは,これらのことを多くの人に気付いていただき,おいしいお茶を飲んで,無理なくペットボトル茶を減らしてほしいというものでした。

まずは水出し煎茶でのどを潤していただき

この時期,何といっても暑く,まず参加者の方に冷たい水出し煎茶で喉をすっきりと潤してもらいました。この水出し煎茶では,茶葉をティーパックではなく新品の台所用ごみネットに入れていました。ごみネットの方が大きいため,茶葉が広がり,より美味しいお茶に仕上がるのだそうです。そして,講習では急須を使った煎茶の淹れ方を教えてくださいました。
暑いのに…,と思われるかもしれませんが,熱湯は使わないのです。人肌と同じくらいの温度のお湯を使いました。こうすることで,葉から苦味成分が出るのが抑えられ,すっきりとした旨味の利いたお茶を淹れることができるのです。お茶には苦味,渋味,旨味,甘味といった味が含まれているのですが,このように温度を調節することで同じ茶葉から自分好みの味を引き出すことができます。

おいしいお茶を淹れるポイント

そして,お茶を淹れる際のポイントも色々教えていただきました。それは,以下のようなことでした。

・茶葉にお湯を注ぐ際には,お湯が茶葉全体に触れるように円を描くようにまんべんなく注ぐこと。
・お茶がいい具合になったかどうかは時間でなく葉の開き具合で判断するとより正確になること。
・お茶を複数の茶碗に注ぐ際には均等になるよう回し注ぎをすること。
・そして二煎目以降も美味しく飲めるようお茶は急須の中の最後の一滴まで注ぎきること。

また,茶葉は重いものほど上質だ,という判断基準も教えてくださり,茶葉にはたくさんのビタミンが含まれていて,お茶を楽しんだ後は茶葉を食べることでそれを全て摂取することができる,という話もしてくださいました。食べると使い終わった茶葉もごみになりません。お茶には本当に凄いパワーがあるのです。そして,それを発揮させるのは我々次第なのです。

ひと手間をかけることができる,そのゆとりに豊かさがある

今回松石さんが教えてくださったことを知らないと,お茶に対して本当に勿体ないことをしているのだなぁ,と思われます。水出し茶を飲みに来る人は後を絶たず,講習が終了してからも何人かがブースを訪れました。講習は外国の方にも好評でした。
こうしたことを学ぶと,私たちには,もしかするとお茶の他にも,それとは知らずただ便利というもののみに手を伸ばして,本当はそのパワーを十分に引き出すことなく損しているものがあるかもしれない…,という気がしてきます。今回学んだお茶に関する知恵は,決して便利さを追求した結果生まれたものではなく,どうやったらお茶を最大限楽しめるのか,と色々な人がじっくりとお茶と向き合って紡ぎ出されたものです。今,私の周りにいる人は家族も友達もそして自分も誰も彼もが忙しそうで,毎日何かをしているように見えます。けれども,こうした向き合いができるゆとり,余裕をもっと大切にしたいものです。こうしたゆとりが最も人の生活を豊かにしてくれるのみならず,地球にも最も優しいものでもあるはずです。
(2017年8月18日公開)

以上

下の図は筆者が別の投稿で作成した「おいしいお茶の淹れ方講習」。

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