美と健康の源だ

私に元気をくれるお茶

ふろしき研究会代表 森田知都子

「くよくよしなさんな」と,お茶が言う

ガチャ〜ン!あっ,手が滑って茶碗を割ってしまった…。なんてこと!朝,目覚めて気がつくと,洗面所のライト,一晩中付けっ放しだった…。どうしよう!大事な書類が行方不明,どこへ行ったのか,見つからない…。しまった!友人との電話のやりとりで,余計な一言を口にして,気分を害してしまった…。失敗してしょんぼりしたり,やり損ねて気落ちしたり。日々,こんなことの繰り返し。こんな時は,「あわてんと,お茶を」と自分に言い聞かせて,やおら,湯を沸かす。

さぁ,前を向こう

茶葉を急須に入れ,湯が沸いたら,湯呑み茶碗を温め,急須に注ぐ。茶葉がふわりとするのを待って,湯呑みの湯を捨て,急須の口から注ぐ。立ち上る湯気と香り。束の間,目を閉じて,湯気を感じる,香りに身を任せる。
湯呑みを手のひらで受け,温かみを確かめながら,いただく。唇が,舌が潤う。そして,湯呑みが空になる頃には「まあまあ,ちょっと落ち着きぃな,起きたことはしゃあないし,嫌なことおいといて,前を向こう」という気持ちになっている。

私の好きな曲のフレーズ「夢をみるのを忘れちゃいけない」

私の好きなジャズの一曲に「Dream」というスタンダードナンバーがある。副題は「When You Feeling Blue」。歌詞を読み解くと,「憂鬱になったとき,落胆したとき,煙草に火をつけて煙の行方を見てごらん,忘れていた何かに気がつくから,人生ってわるいことばかりじゃないんだよ,夢をみるのを忘れちゃいけないよ」という意味のようだ。「Dream」のなかの,煙草の煙と茶葉で点てるときの湯気と香りは,似ている。

お茶の湯気と香りの効能

ほうじ茶のときも,もらい物の高級なお茶のときも(自分では高級な茶葉は手が届かない),お茶を点てると湯気や香りが立ち上り,ふわりとした気分に包まれる。気分を転じてくれる。手軽な「ペットボトル」では,そうはいかない。
新聞などの報道で,いじめや虐待,自殺などの出来事を知ると,ふと思う。きちんと茶葉でお茶を点てて飲んでおられたのかな,と。
今日も,あれこれあってしんどいな。さて,お茶をいただくとしよう。湯気と香りにくたびれた心を包んでもらうとしよう。(2017年3月18日公開)

 

≪プロフィール≫ 

ふろしき研究会代表。京都市在住。京都市ごみ減量推進会議理事。環境省3R推進マイスター(容器包装廃棄物排出抑制推進員)

ふろしきが忘れ去られようとしている今,現代の生活の中でふろしきを活かすことを研究テーマに活動を続けている。京都をベースに,大阪,神戸,名古屋,東京でもふろしきの新しい包み方などの講習会やワークショップなども交え,『ふろしきトーク』を開催しています。最近では「京都観光土産エコ包みコンテスト」を開催しました。

容器包装を減らしたいという思いは,「リーフ茶の普及で,ペットボトルを減らそうキャンペーン」と同じ。水筒の持参をはじめ,シンプルな暮らし方をかっこよく提案していきます。

ジャズヴォーカルが趣味。

ふろしき研究会 http://furoshiki.life.coocan.jp/index.html

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