ペットボトル水の利用は、環境負荷が大きいよ
意外に大きなペットボトル水のCO2排出量
お茶を淹れるにも、水が必要です。もしペットボトル入りのミネラルウォーターを利用した場合、CO2はどのくらい発生するのでしょうか。
ある研究論文*によると、ペットボトル入りの国産のミネラルウォーター500mℓを自動販売機で購入して、利用後の空きボトルをリサイクルに出した場合は1本あたり239gのCO2が発生するとされています。
問題は、この239gのCO2をどう受け止めるかです。環境問題に熱心な人なら、たとえ239gでも減らそうと考えて、できるだけ水道水の利用を優先しようとすることでしょう。しかし、多くの人々にとっては239gのCO2に目くじらを立てることなんかない、と思うかもしれません。お茶を淹れる場合に限らず、ペットボトルでミネラルウォーターを飲むことが習慣化している人も多いことでしょう。もし1日1本このような飲み方をすると、1年で87.2kgのCO2排出量になるのです。
身近な家電製品に例えると
これを家電製品や車と比較してみると、意外に大きな数字であることが気付きます。例えば、最も省エネタイプの32インチのテレビの年間消費電力量(毎日4.5時間視聴)は35kWh。電力1kWhあたりのCO2排出量は531g(関西電力2014)ですので、35kWh×0.531kg/kWh=18.6kg。なんと、テレビを毎日4時間半見る方が、ペットボトル水を1日1本飲むよりずうっとCO2排出量は少ないのです。
では、冷蔵庫はどうでしょう。現在よく買われている大型(501ℓ)で最も省エネタイプのものの年間消費電力量279kWh。279kWh ×0.531kg/kWh=148kg。さすがに冷蔵庫の方が大きくなりますが、ペットボトル水は冷蔵庫の約6割で、大きな差はありません。もし、毎日2本飲んだら、冷蔵庫のCO2排出量より多くなるのです。
自動車に例えても
それでは、自動車と比較するとどうでしょうか。エコドライブすれば、実走行燃費25km/ℓが出る自動車は最近ならよくあります。このクルマを100km走らせるとガソリン4ℓ必要です。ガソリン1ℓ当たりのCO2発生量は2.32kgなので、4ℓ×2.32=9.28kgのCO2を排出することになります。これを上記の365日のペットボトル水のCO2排出量87.2kgと比べると、なんとこの自動車が約940kmも走るときに排出されるCO2と同じになってしまうのです。
やっぱり水道水の利用がいいね
このような比較をすると、1日1本のペットボトルが、意外に大きなCO2排出になることに気づかされます。
ちなみに同研究によると、水道水500mℓを浄水器に通して冷蔵庫で冷蔵保存して、ガラスコップに入れて飲んだ場合のCO2は22gです。水道水のままガラスコップに入れた場合は4.2gになります。ごみ問題だけでなく、気候変動問題からも、水道水の利用は、非常に環境負荷が小さいと言えるのです。(2016年10月24日公開)
*三木暁子、中谷隼、平尾雅彦(2010)消費者のためのライフサイクル評価による飲料水利用のシナリオ分析 環境科学会誌23-6
以上
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