未来だ

京都発,リユース容器が生み出すごみ減量効果とコミュニケーション

NPO法人地域環境デザイン研究所ecotone 代表理事太田航平

失われたコミュニケーションが取り戻されつつある

「ごちそうさま!」「おおきに!」「ありがとう!」。京都のお祭りやイベントでは,利便性や効率性などを重視したライフスタイルや価値観によって失われてしまったコミュニケーションを,現在どんどん取り戻しつつあります。

市民が押し進める2Rの取組

使い捨て容器,特に,ペットボトルや缶(スチールやアルミ)などは,回収・リサイクルされる場合には新たなエネルギー資源を必要とすることは周知の事実。限りある資源を有効に使うという観点からは,ごみの発生自体をなくすこと「リデュース」はもちろんのこと,一般に省資源・省エネルギーですむ再使用「リユース」がリサイクルの前に必要不可欠な事項です。しかし,「リサイクル」のイメージが社会的に(経済的にも成り立ち)スタンダード化している一方で,「リデュース」「リユース」に関しては認知度が低く,多角的な取組が必要不可欠な状態なのは否めません。それに対し,ここ京都では市民が主体となり,2Rを重視した施策を他都市に先駆けて推し進めてきた実績があります。

リユース容器が生み出すコミュニケーション

例えば私たちの団体では,2Rの重要性を広く発信すべく,何度も繰り返し洗って使用出来る「リユース食器」を用いた地球温暖化防止やごみ減量方策の仕組みづくりに2000年から取り組んできました。ようやく「リユース食器」も全国的に浸透してきましたが,実はこの考え方や実践内容,「リユース食器」というネーミングにハートのロゴマークなどは京都発の取組として注目を浴びました。

京都を代表する祗園祭や大学の学園祭,保育園の夏祭りに地蔵盆などなど,大小規模を問わずお祭りやイベントの現場では,「脱・使い捨て」を掲げ,「ごちそうさま!」「おおきに!」と食器を返却する来場者の姿を数多く目にするようになりました。なんともない光景のようですが,ただ「捨てる」という行為の中ではこのようなコミュニケーションは生まれにくいのです。

環境に配慮した未来を創造しよう!

この仕組みづくりの過程では,市民のみならず,事業者や行政などとのしっかりとした「協働」がありました。新たな概念や価値を創造する上で,多様な主体が集まり,知恵を持ち寄り,自分の役割を責任持って果たすことはとても創造的で楽しいことです。

ペットボトルはとても機能的ですが,ペットボトルでなくても良いところまで,現在使い捨て容器が当たり前となっていることに,みなさん違和感や疑問をもたれた方も多いと思います。違和感や疑問を持った商品やサービスは長くは続きません。古くて新しい価値観を京都ではこれまでもたくさん生み出してきました。本取組はそんなモデルとして未来のスタンダードになること間違いなし!

皆さんも身近な2R活動に目を向け,使い捨て文化の中で忘れていたコミュニケーションを取り戻すと同時に,環境に配慮した今と未来を一緒に創造していきましょう!(2016年10月24日公開)

NPO法人地域環境デザイン研究所ecotone http://www.ecotone.jp/

祇園祭ごみゼロ大作戦 http://www.gion-gomizero.jp/

ページの先頭へ